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♪~~ラーララ、ラララ、ラーララ、ランランランルルルー~~♪
さあ、徹男の部屋が始まりました。
司会の白柳撤男です。
本日のゲストは「千手観音」さんにお越しいただきました。
「皆さん、こんにちは。千手観音菩薩です。悟りを開くために修行しております」
見てください。このおよそ1000本の腕。たくさんあって数えきれないですね。実際の本数はどれくらいなんでしょうか?
「私もちゃんと数えた事がないので、わかりません」
そうですか……じゃあ、話題を変えましょう。今、悟りを開くために修行中との事ですが、今はどういった修行をしているのでしょうか?
「そうですね。ゲームの悟りを開くため、ゲームセンターで修行をしています。昨日は『ワニワニパニック』で遊んで……いえ、修行をしました」
おお! ワニワニパニックですか。懐かしいですね、僕も小さい頃よく遊んでました。結構難しいですよね。
「そうですね。特に『もうおこったぞ~』と言ってからは楽しい……失礼。修行になります」
ちなみにスコアはどうでしたか?
「111点です」
えぇっ! かなりの高得点ですね! すごいじゃないですか!
「ふふふ、すべては修行の賜物です。ですが、最初は苦労しましたよ」
ほお、その苦労話をお聞かせください。
「ワニワニパニックの専用ハンマーは一本しかないですよね」
そうですね。
「私はおよそ1000本の腕を持っていますので、どの腕に持たせようか一人でパニックになってしまいました。そうしているうちに終わる事が多かったのです。まさにワニワニパニックでしたね」
そうだったんですね。その状態からどうやって111点を取ったのでしょうか?
「簡単です。1000本の腕でワニをしばけば良いのです」
あぁ、なるほど、およそ1000本の腕を持つ千手観音さんだからこそ出来る技ですね。……って、あれ? 専用のハンマーは1本だけと言いましたよね? どうやって攻略したのですか?
「残りの腕はハンマーでなく、素手でしばきます。素手で叩くと結構痛いので、痛みに耐える修行にもなります」
悟りを開くためならどんな苦行も耐える。さすが千手観音さんですね。
「ふふふ。ですが、こんな私でもどうにもならないことがあります」
菩薩様の千手観音さんでもどうにもならない事があるんですか。それは何でしょう?
「『ハンマーで叩いてください!』と店員さんに注意され、結局ゲームセンターは出入り禁止になってしまいました。およそ1000本の腕を持ち、多くの悟りを開いてきた私ですら、出入り禁止を解除する事はできませんでした……」
あぁ、それは仕方ないですよね。ワニワニパニックのルールを守らなかった千手観音さんが悪いですからね……
「そうですね……ですがその時、私はゲームの悟りを開きました」
おお! その状況から悟りを開くとはさすがです! ……それで、その悟りは何でしょうか?
「ゲームはルールを守って遊ぶからこそ、みんな楽しい」
深いですね……ゲームのルールを破ってゲームセンターから出入り禁止になったから千手観音さんだからこそ、説得力がありますね。
「決められたルールの中で攻略するからこそ、ゲームは面白いのです。およそ1000本の腕でワニワニパニックを叩いていたとき、楽しくありませんでしたね」
そうでしょう、そうでしょう。1本のハンマーで高得点を目指すからこそ、燃えるんですよね。
あーっと、そろそろお時間ですね。今日のゲストは千手観音さんでした。ありがとうございました。
「こちらこそありがとうございました。このあとは近くのゲームセンターの『パンチングマシーン』で遊んで……いえ、修行してきます」
今度はパンチングマシーンですか。
「はい。昨日の鬱憤を晴らすためにおよそ1000本のパンチを打ち込んでやります」
ははは、千手観音くん。そんなことをしているから、いつまで経っても仏の最高位である『如来』になれないですよ。
「白柳さん? 何を言っているのですか?」
私は白柳撤男ではありません。そろそろこの体を白柳さんにお返ししなくてはなりませんね。
「あ! 白柳さんの体から魂が抜けて……って……はっ!! あ、あああああああアナタ様は………!!」
ふふふ。久しぶりですね。
「あ、あ、あ、阿弥陀如来!」
最近、千手観音くんが修行を怠っているという噂を聞きましてね。白柳さんの体をお借りしました……と、スタジオ中が混乱に陥るのはわかりますが、どうして千手観音くんまで混乱しているのでしょう?
「阿弥陀様がこんな所に現れるなんて……私を含め誰も思いませんよっ!」
おやおや。菩薩のアナタが私の存在に気づかなかったとは……噂は本当のようですね。修行は一からやり直しです。さあ、私とともに浄土へ行きましょう。
「い、い、い、嫌ですっ! 浄土は何もなくて退屈……ぐぁっ! 体が動かない……ぐぎぎ……」
ほほほほほ。全ての悟りを開いたこの私から逃れることはできませんよ。
おっと。
皆様、お見苦しいところをお見せして申し訳ありませんでした。
では、極楽浄土でまたお会いしましょう。
さようなら。
♪~~ラーララ、ラララ、ラーララ、ランランランルルルー~~♪
来週のゲストは阿修羅さんです。お楽しみに!
END
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