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「起きましたか。コレを食べてください、食べる気がなくても無理やり飲みこんで」
目を覚ますと、ベッドに寝かされていた。
横には石神が携帯をいじりながら、目も合わせずソファに座っている。
「あ、ありがとうございます」
傍らにある、おにぎりを食べる。
急激に全身へ力がみなぎってくる。何時間ぶりの食事だろうか。
「だから言ったでしょう。『"つかれ"には気をつけてください』と」
「すいません、こんなに私が疲弊してたとは」
「違う」
お茶をカップに入れて差し出しながら、静かに優しく否定する。
次に、昨日食べたゼリー飲料のゴミを開けてはクンと嗅ぎ、淡々と語りだす。
「僕は”憑かれ”に気をつけろ、と言ったんだ。
けれど貴女はものの見事にそのスイッチを踏んでしまった」
“スイッチ”とは一体。
きっと彼には、私が見えている以上のものが見えているのだろう。
「今の私にヒダル神は憑いているということですか?
石神さんにはそれが視えて」
「何を言っているのですか?さぁ行きますよ」
「い、行くってどこへ」
石神は次に聖菜の定期入れを取り出す。
そして目をまっすぐに見つめながら答えた。
「この事件に憑いた妖怪を祓いに」
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