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「今日は直帰します、と」 小腹の空く19時頃。 帰りの電車で部内グループにメッセージを打つ。 即座に比芽からスタンプが返ってくる。 そうだ、思い出した。 あの子がくれたゼリーでも飲もう。 口を捻り、流動食のそれを飲む。 にしても今日はやけに情報量の多い1日だった。 先輩の不審死に、石神さんの一言。 『"つかれ"には気をつけてください』 確かに、この数ヶ月は心労が多かった。 比芽の嶋根先輩への愚痴を毎日聞いたり、その嶋根先輩から猛烈なアタックを喰らったり。 果ては、満員電車での急な立ちくらみを度々経験して。 社会人になって2年の間に、心身ともに衰えたのだろうか? そんなことを考えずにいられない。 そうだ、先週も飲み会の帰りにタクシーで気分を悪く……。 そこまで考えたところで、急に視界が歪む。 息は苦しく、手足が痺れ、先ほどまで感じていた空腹が何倍にも感じる。 今までの立ちくらみのそれとは違う! あまりにも重いその症状に、脳内がパニックに陥る。 呼吸が苦しい。次の駅で最寄りだ。 駅を降りて、家までゆらりゆらりと揺れながらも必死に歩く。 どんどんと脳が、体が痺れていく。 ー”ヒダル神”……かー 晴知の言葉が脳裏に響く。 鋭敏化した空腹に、呼吸してもできない息苦しさと全身が動けなくなりそうな痺れ。 これが先輩に憑いていたヒダル神、なの? 頭の中に、今日の情報が錯綜しパニックになる。 部屋の鍵を開けた瞬間、聖菜の意識は途切れた。
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