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何度も鳴り続ける携帯の音で目を覚ます。 昨日玄関にそのまま倒れてしまったようだ。 「はい、もしもし」 「先輩!どうしたんですか!!もう13時ですよ、無断欠勤なんてらしくないですよ!?」 「ごめんね、ちょっと昨日から体調がね……ありがとう」 今日は休みを取るほかない。 頭はまだガンガンとするし、空腹感が酷い。 冷蔵庫には……なにもない。 シャワーを浴びて、コンビニにご飯を買おう。 浴室で昨日のことを思い出す。 前から私も取り憑かれていたのだろうか。 電車に乗って息苦しくなり、そして昨日は呼吸すら覚束なくなった。 また外出したら同じ苦しみを味わうのか? 思い出すと恐怖が心を蝕む。 そして玄関を開けようとしたその時。 ッッ!また息ができない! 苦しい、体中が痺れて動けない! 胸が痛い、痛い、痛い!! ダメだ、外出もままならない。 嶋根先輩もこの苦しみの中で死んだの……? 誰か助けて!!!でも誰が? ー追加の質問はこの電話へー そうだ、石神さん! 必死に震える指で、携帯を手に取る。 「もしもし、石神です」 「コヒュー、コヒュー」 声が出ない。息ができない以上、無理もない。 しかし、切れ者石神は即座に状況を察した。 「もしかして!家はどちらですか! メッセージで送ってください、今から行きます」 電話が切れる。 住所をメッセージで送り、到着を祈る。 すがる思いで携帯を必死に握りしめる。 息のできない酸素の薄さから、再び意識が遠のいた。
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