星降る夜に神様と、まさかの女子会をしました

4/41

148人が本棚に入れています
本棚に追加
/58ページ
「なあ、夜景見に行かねぇ?」 「今から?」 ファミレスを出て、玲の運転する車は家とは反対方向に進んでいる。玲の無計画な行動は、私に同意を取らないまま勝手に行き先を決めた。 「私明日も早番なのよ」 「そんなの余裕だろ?」 玲は休みなのか、はたまた授業が朝からないのか知らないけれど、時間なんて関係ないといった様子だ。私は明日は早番で、朝七時までに出勤しなくてはいけない。 渋る私と行く気満々の玲の間には、気持ちに温度差が開く。玲は今までも、私の仕事のことをこれっぽっちも理解しようとしなかった。 私は年中無休の花屋に勤めている。土日も関係なくシフト制で、早番遅番勤務も週交代だ。 まだ入社して一年、経験も浅いので仕入れなどはしていないが、それでも早番はある。開店前の業務は、仕入れた花が長く鮮度よく保てるように、水の管理や温度、それに湿度にも気をつけながら店内ディスプレイを行う等、それなりに忙しい。むしろ仕入れなど任されるようになったら、もっと朝が早くなる。 そういうことを玲に言っても、彼は「ふーん」と聞いているのかいないのか、はたまた興味がないだけなのか、次のときにはもう忘れている状態だ。それに私の仕事をバイト感覚で見ている傾向があり、その点も気に食わない。 そもそも普段デートで車なんて使わないのに、今日は親に借りた車でデートしたいだなんて言ってきた時点で、玲の中では夜景を見に行くことは決まっていたのかもしれない。それならそうと先に言ってくれれば、私だってちゃんと準備したのに。 夜景は魅力的ではあるけど、もっと計画性を持って行きたいし、明日は仕事で早出の私の事なんてお構い無しな行動は、やっぱりどうかと思う。
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

148人が本棚に入れています
本棚に追加