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「ど、どうしましょう、千々姫様」
「はぁ。恋は盲目とはよく言ったものですね。アオイはこんな風にならないようにしてください」
「あ、はい、気をつけます」
千々姫様は手をパンパンと叩いて二人を現実に引き戻す。
「はーい、火の神はケーキとチキンを買ってきてくださいねー。咲耶姫は女子会の続きを始めますよー」
千々姫様の言葉は火の神様の熱さをも凍らせるほどに冷ややかだ。我に返った二人はバツの悪そうな顔をし、そんな人間っぽい神様たちに私はふふと笑みがこぼれる。
火の神様は襖を閉めながらちらりとこちらを振り返り、
「ふん。ゆっくりしていくといい」
とぶっきらぼうに言った。火の神様も相変わらず不器用に優しくて私は嬉しくなる。
「はい! ありがとうございます!」
私のお礼と襖が閉まるのは同時だっただろうか。
「さあ、クリスマス女子会を始めよう。で、アオイはなぜ未だにお一人様なのだ?」
咲耶姫様の悪気ないグサリと来る一言に苦笑いすると同時に、神様たちとまた女子会ができる奇跡をありがたく思う、そんな夜だった。
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