星降る夜に神様と、まさかの女子会をしました

6/41
前へ
/79ページ
次へ
エンジンはそのままに、ヘッドライトが消された。街灯はなく、とたんに暗闇が広がる。 「ここさ、星が綺麗なんだよ。穴場スポット」 「……そうなの?」 先程とはうって変わって急に優しい声色で話す玲に、私は少し落ち着きを取り戻す。 「葵、星好きだろ?」 「うん、好き」 私はフロントガラスから空を仰ぎ見る。 ガラス越しからでも確認できる無数の星は、街中で見るものとは全然違った。 ――星が綺麗な穴場スポット だから連れてきてくれたんだと思うと急に嬉しい気持ちがわきあがり、自然と頬も緩んだ。なんだかんだ言いながらも、玲なりに私を喜ばせようとちゃんと考えてくれてたんだよね。 車から降りようとドアノブに手を掛けると、ぐっと体を引き寄せられて玲にもたれかかる形になった。 顎をぐいっと引き寄せられて、そのまま唇が重ねられる。腰に手を回され更に体が密着する。と同時に、キスも深くなっていった。 そのままゆっくりと座席にもたれ掛かった。玲は私に覆い被さるように体を捻り、座席が倒される。おもむろに服の上からまさぐるように手が触れていき、ゾワゾワした気持ちになった。とたんに耐えられなくて、私は顔を背けながら「やめて」と拒んだ。それなのに玲は聞こえないとばかりに触る手をやめない。 玲と体の繋がりはまだない。 キス止まりだ。 チャンスは何度かあったけど、私の心の準備ができなくてずっと拒否していた。 ──初めては怖いから ──わかったよ そうやり取りしたときの玲はとても優しかった。 私の気持ちは分かってもらえてると思っていた。だから今までもこれからも、ちゃんと私の気持ちを尊重してくれるものだと疑っていなかった。 なのに今? ここで? なぜ? 彼に対する不信感が身体中からわきあがってくる。
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!

233人が本棚に入れています
本棚に追加