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ある遅番の日。
出勤した早々、店長が飛んでやってきた。
「望月さん!」
「あ、おはようございます」
「お客様がお待ちよ」
「はい?」
早く早くと急かす店長に続いて、慌ててエプロンを着けて店内へと急ぐ。ただの花屋に勤める私に、どうやらご指名があったらしい。
……ご指名???
まさか神様の類かと勘ぐったけれど、そもそも店長は神様が見える人ではないし、不思議な存在を怖がるタイプの人。
「すっごいイケメンだから! どんな知り合い? 後で教えてね」
「は、はあ……」
目をキラキラさせて興奮気味に喋る店長に、私は首を傾げながら曖昧な返事しかできない。だってイケメンの知り合いなんていないし。
そういえば以前出会った月読様は、綺麗な顔をしていたな、なんて考えながらお客様の元へ急いだ。
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