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「僕は人ですが、望月さんと同じように神様が見える体質でして」
「うわあ、そうなんですか!」
「なんか……喜んでます?」
「はい! だって私のまわりで神様が見える人がいなくて、ちょっとやきもきしていたんです。まさか、他にも見える人がいたなんて、感動です」
ふふっと笑うと、斉賀さんは「なるほど」と頷いた。
「それで、神様が見える望月さんにお願いがあって今日は訪ねてきました」
「はい、何でしょう?」
「咲耶姫様が結婚されるので、その結婚式の装花を望月さんにお願いしたいと、咲耶姫様たっての希望です」
「結婚式? ……あっ! 山の神様とですか?」
「そうです、そうです」
「こんなことを言っては失礼かもですか、ずいぶん前に千々姫様が婚礼衣装の織物を届けていたので、もうご結婚されたものと思っていました」
「千々姫様もお知り合いでしたか」
「まあ、少し……」
知り合いと言っていいものなのかよくわからないけれど、千々姫様の空飛ぶ織物に乗って咲耶姫様を訪ねたことがある。それ以来会ってはいないのだけど。
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