星降る夜に神様と、まさかの女子会をしました

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急に心細くなってきて私は両腕で体を抱えた。 いやいや、負けてたまるか。 身震いしながらも私は意思を強く持つ。 あんな男、別れてやる。 ううん、もう別れたも同然だ。 玲とのやり取りを思い出しながら、私は心の中で憤った。これから先、玲と上手くやっていく自信がない。今までどうやって過ごしてきたのかさえ忘れかけている。 別れようとは言っていないけど、山に置き去りにされたのだから、こんなのもう別れたようなものだろう。 謝ったって、絶対に許してやらない。彼女をひとり山に置き去りにするとか、本当にありえないんだから。 考えれば考えるほど悔しくなって、胸が痛いくらいに締めつけられる。玲が悪いのか、はたまた自分にも悪いところがあったのか、今の私には判断がつかないほどまったくもって冷静な気持ちにはなれなかった。 と同時に、雫が頬を伝ってしっとりと濡らしていく。それは次から次へ頬へ流れ落ち、ああ私は泣いているのかなとぼんやりと思った。悔しくて泣けるなんて、本当にもう胸が詰まりそうだ。 「ん?」 私は空を見上げた。 涙ももちろん出ていたけれど、次から次へ頬へ流れていたのは天からの雨だった。 「嘘っ?!」 ポツリ、ポツリと降りだし始め地面を濡らしていく。コンクリートが濡れて湿気を帯びる、降り始めの雨の匂いがした。 山の天気は変わりやすいとはよく言ったものだ。 さっきまであんなに綺麗に星が見えていた。 雲ひとつない快晴の夜空だった。 それなのに、今ではうっすらとした雲がどんどん星空を覆い隠していく。 天気のスピードに気持ちがついていけず、私はオロオロと焦り始めた。
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