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エピローグ
「はぁ……じゃ、そろそろ帰るか」
笑い疲れたといった様子で竹村くんがベンチから立ち上がった。私はその隙に、こっそり藤井くんに耳打ちする。
「ねぇ」
「な、なんだよ、朝倉。近い……」
「藤井くんってさ、人の夢の中に入って惚れさせる黒魔術でも使えるわけ?」
「黒魔術!? な、なんのことやら」
分かりやすく狼狽える藤井くんに、私は「まぁいいけど」と笑いかける。
そう、別に黒魔術だろうと白魔術だろうと、なんだって構わない。彼が私を二度も救ってくれた事実には変わりないのだから。
黒い感情なんかじゃなかった、私の心を守る黒騎士。
「今日はありがと。もしまた何かあったら、約束どおり助けてよね」
「や、約束? だから、なんのことやら……」
未だどきまぎしている藤井くんにもう一度笑いかけ、私は先に歩き出している竹村くんの背中を追った。
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