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「お、起きたかー朝倉。大丈夫か?」
いつのまに近くまで来ていたのか、急に竹村くんの声がして私たちは同時に背筋を伸ばした。
別に疚しいことなんて何もないのに、なんとなく二人でいる空気感を見られるのが恥ずかしかった。なんともない顔をしている隣の藤井くんも、今同じように感じているのだろうか。そうだったら、嬉しい。
「それにしてもびっくりしたよ。あの朝倉があんなに荒れるなんて。そこまで水沢のことが好きだったんだな……ごめんな、無神経なこと言って」
「……っぷ。あはははっ!」
「は!? 何!? なんで笑うの!?」
全く見当違いなことを言う竹村くんがおかしくて、私と藤井くんは同時に吹き出した。竹村くんは最初こそ困惑していたけれど、しばらくしたら彼も笑い出し、結局三人して夜の公園で笑い転げた。
そして私は思った。うん、今度こそもう、大丈夫。
それにもしまた何かあったとしても、私にはこんなに頼れる仲間がいる。本当は陰気で黒いこんな私のこともきっと好きでいてくれるだろう、最高の仲間が。
都会の隅っこの小さな公園には、しがない社会人三人組の笑い声がいつまでも響いていた。
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