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第27話 夏の力
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七月下旬、梅雨明け宣言とともに急激に暑い日が多くなった。
前に倉じいがこの地域について、「夏は暑く冬は寒い」と言っていたけれど、その言葉の半分を早くも理解することになった。
夜になってもなかなか気温が下がらず、ここ最近は熱帯夜が続いている。
夜九時になった今も、体感的には三十度くらいある気がしてしまう。
中庭にある植物たちは、今は元気そうだけれど、この先さらに暑くなったら大丈夫なのかなと、そんな心配をしつつ、私は回廊に腰を下ろした。
お風呂上りにアイスを食べることがここ最近の楽しみになっていて、静かな中庭を眺めながらお気に入りのカップアイスを食べるという、落ち着いた時間が始まった。
「あっ! いいところに!」
すると、私の背後から扉が開く音がして、それと同時にカナンの元気な声が聞こえてきた。
静かな時間はあっという間に終わりそうだ。
「どうしたの?」
アイスを片手に私が答えると、カナンはすぐに「ひと口ちょうだい」と言ってきたから、隣に座ったカナンにひと口食べさせてあげた。
満足そうに笑うカナンを見て、私は一定の幸福感を得る。
「莉亜、明日は休みだよね?」
私の休日はここに住むみんなが把握しているだろうけど、私はしっかりうなずいた。
明日は日曜日で、何もなければ家で涼んでいようと思っていた。それでも、誰かが声をかけてくれるなら外に出るのも嫌じゃない。
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