第29話 降ってわいた話たち

62/79
前へ
/221ページ
次へ
「ひとりで平気?」 「たぶん」  私は手伝うつもりで四季さんのそばにいたけど、四季さんはゆっくりと台座となっているブロックを持ち上げた。  思っていた通り中に空洞があって、そこには小さな箱がある。 「莉亜さん、取ってもらっていい?」 「は、はい」  私が素早く小箱を回収すると、四季さんはそっと台座を地面に戻した。  それから台座を押して元の位置に戻す。 「これは当たりでしょう」 「びっくり箱かもよ!」 「空箱かもな」  私のもとにカナンたちを含めた全員が集まる。  本当に宝探しをしているみたいな雰囲気だけど、箱は軽いから少しだけ心配になる。 「おぉー」 「やっぱりこうなるよな」  箱の中身は懐中時計で、呉本くんが額に手を当てて悔しがっていた。  勝つことよりも盛り上げることを優先してくれたんだろうか。 「あとはかなちゃんのダルマさんね。一応もうひとつも確認しておく?」 「そうですね。ここにはもう戻って来ないでしょうし」  もう片方の台座も同じように四季さんが持ち上げる。  なんと、こっちにも箱があった。私はびっくりして動けなかったから、静子さんが箱を回収した。
/221ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加