第29話 降ってわいた話たち

68/79
前へ
/221ページ
次へ
「おーっと、静さんがすごい体勢でダルマを探している! 莉亜はそれを見守っているだけだぁ」  カナンから指摘を受けて、私は自分のするべきことを思い出した。  このままじゃ半分以上四季さんに見てもらうことになってしまう。 「俺、警察チームのほうが楽しそうって思ってたけど、見てるのも悪くないね」 「確実に探すほうが難易度高いだろうからな」 「昼間だったらもっと違ったかもな」  カナンだけじゃなく他のみんなも一緒になって動いていて、三人が冷静に話しているのを聞くと私もそっちに行きたくなる。  あと三分くらいだし、もうダメかも。 「どう?」  私が諦めかけているところに、四季さんがやってきた。  四季さんの表情からも、やや敗戦ムードが感じられる。 「見つからないです。中庭じゃないんでしょうか」 「うーん。今から他を探すのも難しいよね」 「私も、腰が痛くなってきたわ」  そんなに体を張らなくてもと思ったけれど、これは言ってもいいのか迷ったから結局何も言えなかった。  残り時間はあとどれくらいだろう。泥棒チームは正確に時間を測ってないのかな。
/221ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加