第29話 降ってわいた話たち

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「さぁ、ラスト1分となりました! ここで、あたしから最後の大ヒントをプレゼントしましょう!」 「なんだなんだ」 「今までのはなんだったんだってのはやめてくれよ」 「56、55……」  タイムキーパーは呉本くんだった。  そんなことより、最終ヒントは何? 「あたしのダルマは中庭にあるよ。ちっちゃいからあれだけど、ここから見える!」  今のカナンは二号室の前に立っているから、その正面あたりということだろうか。  それならもうすでに見てる気がするけど、暗くて見落としたのかも? 「あとはふたりにまかせるわ」  静子さんは回廊に座り込んでしまったから、動ける私たちでがんばるしかない。  四季さんとカナンの視界に入りそうなところを中心に見て回る。 「大きさってこれくらいだよね?」 「そうですね。真っ赤ですから、普通に置いてあるならわかるはずなんですけど」 「5、4、3……」  うーん、ダメだ。見つからない。  カナンの大きなカウントダウンを耳にして、私は探すのをやめた。 「終了ー! あたしたちの勝ちー!」 「いぇーい!」  ブザーとかはならなかったけど、私たちはカナンのかけ声に従って捜索を打ち切った。  私と四季さんは互いに労いの表情を見せて、カナンたちのもとへ行く。
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