第29話 降ってわいた話たち

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「うわー、なるほど」 「どういうこと?」 「テープを黒く塗って、それを巻きつけたの!」  ダルマさんの体を直接染めるんじゃなくて、真っ黒な服を着せて見た目の印象を変えてみせた、と。  箱に入れるとか布でくるむとかとはわけが違う。こんな発想は私には出てこない。 「すごいわね。でも、これじゃわかるわけがないわ」 「いや、もう完敗だよ」 「これ、誰のアイディアです?」 「あたし!」  この対決を持ちかけただけのことはあるってことか。  他のみんなもカナンのこれさえあれば勝てると思ったから、残りのみっつは見つかりやすくしたんだね。 「え、みんな各自で隠し場所を決めたの?」 「いや、話し合って決めた。僕は陸の鉛筆が意外とわからないんじゃないかと思ったんだがな」 「勉強してたり前庭に来たりしたのも、作戦だったのよね?」 「まぁ、そうだな。やっぱりどうなるか気になるからな。かといって、ずっと三人の後ろを付いて回るわけにもいかんし」  こんな話を聞いている中で、私はダルマさんに巻かれていたテープをはがすことに成功した。  見る人すべてを幸せにしてくれそうな笑顔が戻ってきて、私はひとりで安心した。  それをカナンに返したところで、今回のゲームは終了となった。  他のアイテムは全部持ち主に返してあるし、後片付けをすることもない。
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