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「うわー、なるほど」
「どういうこと?」
「テープを黒く塗って、それを巻きつけたの!」
ダルマさんの体を直接染めるんじゃなくて、真っ黒な服を着せて見た目の印象を変えてみせた、と。
箱に入れるとか布でくるむとかとはわけが違う。こんな発想は私には出てこない。
「すごいわね。でも、これじゃわかるわけがないわ」
「いや、もう完敗だよ」
「これ、誰のアイディアです?」
「あたし!」
この対決を持ちかけただけのことはあるってことか。
他のみんなもカナンのこれさえあれば勝てると思ったから、残りのみっつは見つかりやすくしたんだね。
「え、みんな各自で隠し場所を決めたの?」
「いや、話し合って決めた。僕は陸の鉛筆が意外とわからないんじゃないかと思ったんだがな」
「勉強してたり前庭に来たりしたのも、作戦だったのよね?」
「まぁ、そうだな。やっぱりどうなるか気になるからな。かといって、ずっと三人の後ろを付いて回るわけにもいかんし」
こんな話を聞いている中で、私はダルマさんに巻かれていたテープをはがすことに成功した。
見る人すべてを幸せにしてくれそうな笑顔が戻ってきて、私はひとりで安心した。
それをカナンに返したところで、今回のゲームは終了となった。
他のアイテムは全部持ち主に返してあるし、後片付けをすることもない。
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