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「よーし、これであたしもチケットゲット!」
「今回って、四人全員が権利を得られるのか?」
「もちろんだよ! これはチームの勝利なんだから」
「あ、そうなんだ。最後まで見つからなかったカナンだけかと思った」
このゲームに勝つと、食事のメニューでリクエストができたり、みんなで外出するときに行き先を決められたりといった、『なんでも優先権』みたいなものが与えられる。
私は前回大会で勝利したんだけど、そのときに有効期限は一年って決めて、それならばと呉本くんがチケットを用意してくれた。
今回は四人も新たにチケットを入手したわけだけど、私はこれが使われた場面を一度も見ていない。
私も今のところ使う予定はないけれど、みんなはどんなふうに使うんだろう。
「じゃあ、今回の対決はこれにて終了! みんな、お疲れさま!」
テンション高めのカナンがこの場を締めて、今日はこのまま流れ解散になった。
私はなんとなくその場に立ち尽くしてみんなの動きを見たけれど、それぞれの部屋に戻るみたい。もう十時半だし、当たり前か。
「莉亜、楽しかったね!」
歩き始めた私にカナンが駆け寄る。
ぴったりとくっつかれたけれど、今はそれを引きはがそうとは思わない。
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