第27話 夏の力

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「なんか、すごいね。いろんな設備があって、楽しそう」  サイト全体にざっと目を通し、カナンにスマホを返す。  プールなんて子どもの頃に行って以来だけど、ずいぶんと進化しているようだ。 「だよね? あたし、こういうところって行ったことないからさ、すごく楽しみ」  言葉通りにいい笑顔を見せて、カナンは言った。  こうなったら、明日はカナンによく似合う水着を選ばないと。 「それにしても、カナンが学校の人と遊びに行くなんて珍しいね。やっぱり夏休みだから?」 「え? 何言ってるの?」 「え? ゼミの人とプールの話になったんじゃないの?」 「そうだけど、このあいだそこに行ってきたって話を聞いたんだよ」  あれ、この流れはもしかして。  私はカナンの真顔を前に、次の言葉を慎重に選んだ。 「明日は水着を買いに行きたいんだよね?」 「うん。おっきなショッピングモールがいいかなって思ってるよ」 「そこで水着を買って、さっき見せてくれたプールに行くんだよね?」 「そうだね。いや、絶対にあそこじゃなきゃいけないってわけじゃないけど」 「えっと、いつの話?」 「いつでもいいよ! あたしはしばらくずっと空いてるから!」  誰と、と聞く必要はなかった。  どうやらカナンの計画には最初から私が含まれていたらしい。
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