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「なんか、すごいね。いろんな設備があって、楽しそう」
サイト全体にざっと目を通し、カナンにスマホを返す。
プールなんて子どもの頃に行って以来だけど、ずいぶんと進化しているようだ。
「だよね? あたし、こういうところって行ったことないからさ、すごく楽しみ」
言葉通りにいい笑顔を見せて、カナンは言った。
こうなったら、明日はカナンによく似合う水着を選ばないと。
「それにしても、カナンが学校の人と遊びに行くなんて珍しいね。やっぱり夏休みだから?」
「え? 何言ってるの?」
「え? ゼミの人とプールの話になったんじゃないの?」
「そうだけど、このあいだそこに行ってきたって話を聞いたんだよ」
あれ、この流れはもしかして。
私はカナンの真顔を前に、次の言葉を慎重に選んだ。
「明日は水着を買いに行きたいんだよね?」
「うん。おっきなショッピングモールがいいかなって思ってるよ」
「そこで水着を買って、さっき見せてくれたプールに行くんだよね?」
「そうだね。いや、絶対にあそこじゃなきゃいけないってわけじゃないけど」
「えっと、いつの話?」
「いつでもいいよ! あたしはしばらくずっと空いてるから!」
誰と、と聞く必要はなかった。
どうやらカナンの計画には最初から私が含まれていたらしい。
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