10人が本棚に入れています
本棚に追加
「あったあった。すごい、いっぱいある!」
「ほんとだ。人もたくさん……」
ここにいる人たちはきっと、海とかプールに行くことを心待ちにしている人ばかりなのだろう。
私だって嫌々連れてこられたわけじゃないんだから、しっかり参加意識を持たないと。
「さぁ、莉亜!」
「うん?」
満面の笑みを見せるカナンと、あいまいな笑顔を浮かべる私。
参加意識を失ったわけじゃないけれど、積極的に動くつもりもない。
「どれがいい?」
「私は全然わからないから、まずはカナンが好きなものを選んでよ」
カナンに選んでもらおうかとも思ったけど、変なものを勧められたときに断れないからやめておく。
同様の理由でおそろいにしようとも言わない。
カナンが吟味している間に他のお客さんの動きにも注目して、とにかく無難なものを選びたい。
「どうやって選べばいいんだろう?」
「サイズだけ間違えないようにして、あとは好きなものでいいんじゃない?」
形やブランドなど、いろいろカテゴライズされているけれど、どれがカナンに似合うかはまったくわからない。
買う前に試着はするんだろうけど、そんなに何着も試したくはない。
最初のコメントを投稿しよう!