3人が本棚に入れています
本棚に追加
「お腹痛い、、、、、、」
校門前で私はしゃがみ込む。今日は入学式だ。私は、今日から高校生になる。友達も何人かいるけど、一緒のクラスかわからないし、不安だったけど、登校初日でこれか、、、、、、と落ち込む。
「大丈夫?」
顔をあげるとそこには黒髪ボブに眼鏡のいかにも真面目そうな子が声をかけてきた。
私「うん、、、、、、ありがとう。ちょっと休めば楽になると思う。」
そう言うとその子は私の手を引いて保健室に連れて行ってくれた。
保健室の先生「痛み止めあげるから、それ飲んで休みなさい。やっぱこういう日は体調不良が多いわね。連れて来てくれてありがとう。あなたはもう戻っていいわよ。」
その子は手を振りながら、保健室から出ていった。
初日からついてない、、、、、、と落ち込みながら、私はその子の名前を聞かなかったことをあとになって後悔する。
―数日後―
友達「美徳、おはよー」
美徳「おはよー」
あれから数日経ち、私にも話せるくらいの友達が出来た。親友とまでいかないけど、これからもっと仲良くなりたいと思いながら、私は入学式の日に助けてくれた女の子のことが気になっていた。あの子は同い年か、年上か、年下か、、、、、、。あの日から探すが、校内で彼女を見ることは一度もなかった。
私はバレー部に入った。高校のバレー部は初心者の私には少し練習がきついけど、仲間と力をあわせてやることに楽しさを見いだしていた。
練習中、ふと上を見上げるとそこには校門前で私を助けてくれた彼女がいた。私は思わず「あ、、、!」と声がでた。彼女はにっこり笑ってそのまま歩いていってしまった。私の反応に友達が「どうしたの?」と私の視線の先を見る。しかし、そこには既に彼女はいなかった。
美徳「せっかく会えたのに、、、、、、」
私はあのときの礼が言えなかった事に溜息をついた。
その次の日も、その次の日も、彼女に会える日は来なかった。あのとき探せたら良かったのにと考えているうちに、いつの間にかその子のことを忘れていた。
恋に、勉強に、部活に、友達付き合い、私は毎日多忙に過ごし、気づいたら高校2年生になっていた。
最初のコメントを投稿しよう!