告白

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告白

 エスカレーターを駆け下りると小洒落た花屋が店を構えていた。ふと目にした店内に青紫の桔梗の花が咲いていた。緑あふれる中にひっそりと咲く桔梗は和服の由宇を思わせた。 「これ下さい」 「何本お包みしましょうか」 「1本、お願いします」  それは決して金額をけちけちした訳ではなく、一輪挿しがあの店の雰囲気に似合うと思った。傘を差した人混みを避けながら居酒屋ゆうへ向かう嵐山龍馬の心臓は久方振りに跳ねていた。この様なときめきは何年振りだろう。 (胸がドキドキする)  これまで人生を共にした女性たちも皆、悪くは無かった。然し乍ら結城由宇にはそれに勝る女性らしい魅力と母の様な温もり、包容力を感じた。 (一目惚れとは、この事か)  これまでの自分とは正反対の自分、気負わずに接する事が出来る伴侶とようやく巡り会えた様な気がした。 心の声A(由宇は如何思っているのか!) 心の声B(期待しすぎると泣きますよ) 心の声C(告白して成功する確率100%だと思う人挙手!) 心の声A(微妙) 心の声B(微妙) 心の声C(微妙)  恋に落ちるまで15分間、出会って1週間、告白して成功する確率は限りなく低い。それでも嵐山龍馬は当たって砕ける覚悟で由宇の元へと一目散に向かった。
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