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「ーーーーで、ペイズリー柄を選んだと」
「源文くん、どうだろうか」
「てか部長、会社じゃ結城で良いっすよ」
「そ、そうだな、結城くん、お父さんは何柄を履いていたのかな」
源文は呆れ顔で海老天丼を頬張った。
「その豚カツ、一切れくれます?」
嵐山龍馬は豚カツ定食の豚カツを全て源文の皿に取り分けると前のめりになって目を輝かせた。
「てか、うちのクソジジイと母ーちゃんしてなかったみたいすよ」
「そ、そうなのか」
自身から話題を振っておいてその生々しい返答に嵐山龍馬は眉間にシワを寄せた。
「て、手は繋いでいたのかな」
「俺は見た事ないっすね、今まで離婚しなかったのが不思議なくらい殺伐としてたっつーか結婚てこんなもんかと夢も希望もない感じすね」
「そうなのか」
自分の事は棚に上げ少しばかり由宇が気の毒になった。
「あんなに美しいのに、勿体無い」
「部長、母ーちゃんに一目惚れしたんすか」
「そっ、そんな事は」
「したんすね」
2人同時に味噌汁を啜った。
「俺は賛成っす」
「源文くん」
「嵐山源文の方がカッケェっす」
「そうか」
「まぁ今夜決めちゃって下さいよ」
「わ、分かった。由宇さんの事は幸せにする、約束しよう」
「15分は早えっすけどね」
ぶーーーーっ!
嵐山龍馬の口からワカメが飛び出した。
「なっつ、なんで」
「母ーちゃんから聞いたんすよ、15分間」
「どっ、どうして」
「俺と母ーちゃん仲良いんすよ」
これは上司としての威厳に関わる案件だ。なんとしても堪えなければ、嵐山龍馬は「これ、良いっすよ」と将来の息子から薦められた我が息子の為の滋養強壮剤ドリンクを買い居酒屋ゆうへと向かった。
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