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「ゆっ、由宇さん!」
嵐山龍馬は由宇の指先を握りその動きを制した。
「どうなさいました?」
「この様な事は結婚を前提にしなければ!」
心の声D(何言ってんだよ、ごるあ!)
心の声A(あーあ、良い人ぶっちゃって)
心の声B(良い人なんですから!仕方ないでしょう!)
心の声C(由宇の反応や如何に!)
由宇は呆れた顔をした。
「もう私たちしちゃっているんですよ(してないけど)?」
「そ、それは」
嵐山龍馬は下を向いてごにょごにょと言い訳じみた事を呟き始めた。
「やっぱりーーー私に女としての魅力はありませんか?」
「そっ!それは!」
「お酒を飲んでいないと出来ませんか?」
「そんな事は!」
源文は由宇と前夫は10年以上セックスレスだったのではないかと話していた。その挙句の前夫の不倫、そして離婚。今の由宇は自分の魅力、存在に自信が持てない状況にあるのかもしれない。
「由宇さん」
喉仏が上下した。
「私はこれまで結婚を前提とした間柄の女性としか関係を持った事がありません」
「えっ!?」
「え?」
「食い放題じゃないの!」
「く、食い放題?」
「はぁ!?そんなにハイスペックなのにバンバンした事がないですと!?」
「ば、バンバン」
「そうよ!バンバンよバンバン!」
「ゆ、由宇さん、バンバンなハイスペックってなんの事ですか?」
由宇は手のひらを開き1本、2本と数え始めた。
「顔面良し、高身長、高学歴、高給取り、家柄良し」
「はぁ、ありがとうございます」
「それに」
「それに」
「とてもお優しくて誠実な方だと思っています」
由宇は斜め45度の俯き加減で頬を赤らめた。
ぐらり
嵐山龍馬の微妙で意味不明なこだわりが音を立てて崩れようとしていた。
心の声D(ひょーーっ!色っぺえ!)
心の声B(お下品ですよ!)
心の声A(これは)
心の声C(押し倒すべきだと思う人、挙手)
心の声一同(賛成)
満場一致で可決され、嵐山龍馬はその身体を抱き上げるとベッドの上に由宇の身体を投げ出した。
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