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「由宇さん」
嵐山龍馬はTシャツを脱ぎ捨てると由宇のワンピースのボタンに指を掛け外し始めた。
「嵐山さん」
その胸板は程よく厚く滑らかな肌をしていた。由宇は思わずその肌に触れしっとりと汗ばんだ身体と体臭を堪能した。ボタンホールをすり抜ける白いボタン。
「由宇さんが誘ったんですよ」
「そうね、誘ったわ」
ゆっくりとワンピースの身頃をはだけると小ぶりな乳房、程よい大きさの乳首が現れた。思わず唾を飲み込む。
「誘ったからには覚悟して下さい」
「なにを覚悟するの?」
「婚姻届に名前を書いて貰います」
「ふふふ、まだそんな事言って」
「もう決めたんです」
乳房を掴んだ手のひらは熱く、由宇の皮膚はその荒い息遣いを感じ期待に打ち震えた。
「あ」
小刻みに上下する舌先が乳輪の周囲で円を描き吸い付いた。何十年ぶりかの感覚が乳首の先端に集中し由宇は思わず身体を仰け反らした。然し乍ら逞しい腕がそれを逃さず執拗に乳首を舐めとられ思わずため息が漏れた。
「ん」
嵐山龍馬は額から頬、唇へと伝う愛撫は封印した。正確には由宇と出会い、いつか来るであろうこの日の為に大人の娯楽映画をレンタルし性行為について一から学び直した。
こっ、こんなーーー!こんな事が!
高等学校時代は大学進学一直線で脇目も振らず受験勉強に励んだ。大学時代は大学院生になる為に論文作成に勤しんだ。大学院で出会った女性と結婚を前提に付き合い婚姻届を書いてみたが10年も経たずに離婚届を突き付けられた。
心の声A(あれもセックスが下手だったからじゃね?)
心の声B(勉学に励みすぎたのね)
心の声C(アダルトビデオを見れば良いと思う声)
心の声一同(賛成)
心の声D(マニアックなのはアウトな)
元来その素質はあった。
心の声D(むっつりなんとかだな)
毎晩羽毛布団を抱きしめ脳内でシュミレーションを繰り返し、そして現在に至る。由宇は想像以上に悶え頬を赤らめていた。
心の声B(学んだ甲斐がありましたね!)
両の乳房を堪能し尽くし、ようやく口を大きく塞ぎ舌を絡めあった。脳髄が痺れそれはもっと欲しい欲しいとむしゃぶりついた。由宇はその頬を優しく包み込んだ。
「いやだ、痛いわ」
「申し訳ない」
「キスはこうするのよ」
妖しげな微笑みを浮かべた唇から生き物の様な舌が這い出し嵐山龍馬の唇を舐めまわすと口の中へと押し入った。歯茎、舌の裏側、所狭しと這い回る柔らかい舌に肘が震えた。
「ん」
「ね、嵐山さん気持ち良いでしょう?」
「は、はい」
ベッドに肘を着いた嵐山龍馬は転がされると由宇がその上に跨った。
心の声一同(な、なんじゃこりゃーーーーー!)
ベッドサイドの灯りに照らし出された由宇はワンピースを脱ぎ捨てると足先を使ってトランクスをずり下げた。
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