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そして恋の終わりを告げる幸薄そうな茶枠の婚姻届が目の前に広げられた。一目惚れから始まった恋愛だったが幸せな3ヶ月だったと部屋の中を感慨深く見回した。
心の声A(この部屋ともお別れか)
心の声B(52歳、寂しく老いていくのね)
心の声C(愚かなり)
心の声D(まぁ、15分が25分になっただけでも良くね?)
心の声E(んーそうとも言う)
「ありがとうございました」
鶴は涙を堪えて婚姻届を広げて見た。
「あら、喜んで下さらないの?」
心の声一同(これはーーーーーーー!)
婚姻届の記入欄には結城由宇との記載があった。結城は仕事上の通り名かと勝手に思い込んでいたが由宇の元夫は婿養子だったと言った。
「源文は格好の良い名前になれると喜んでいました」
「ゆ、由宇さん」
「私は嵐山由宇で間違いないのかしら」
「もっ勿論です!」
嵐山龍馬は由宇に抱き付くと嗚咽を漏らし由宇はその頭を優しく撫でた。
(本当にもう、可愛い人ね)
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