プロローグ

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 それは雨の金曜日。 「おめでとうございます!」  金沢市広坂(ひろさか)大通り。 「はい?」「はぁ?」  金沢市役所の戸籍住民課の窓口で婚姻届を提出した2人は赤の他人、これからも赤の他人。  嵐山 龍馬(あらしやまりょうま)(52歳)は2回結婚したが2回共、妻の不倫で離婚。本日離婚届を提出するつもりが誤って婚姻届を窓口に持参した。 「どなたですか?」 「いやいや、あなたこそどちら様でしょうか?」  結城 由宇(ゆうきゆう)(49歳)は夫の不倫が原因で離婚、離婚届の提出順番待ちで龍馬の結婚相手と間違えられた。  由宇にはひとり息子の源文(もとふみ)(23歳)がいる。 「あ、これ俺の上司」  龍馬と源文は同じ会社の上司と部下。 「私、ご子息の上司をやらせて頂いています」 「私、息子の母親をやらせて頂いています」  これはなにかとご縁がある2人の恋物語。
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