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 トゥリールーリートゥーリールー♪  意識の遠くで朝のメロディーが聞こえてくる。  五時半に炊き上がるようにセットした炊飯器の音だ。  もう朝か。お弁当作らなきゃ……  私は寝ぼけ眼を擦りながらキッチンへ行き、エプロンを着けた。ポケットに入れているヘアゴムでセミロングの髪を後ろに一本に結って、手を洗った。  今日はなんだか髪の質感が良いなと思ったが、特に気に留めずにお弁当作りを開始した。  炊飯器のボタンを押すと、パカっとワニが口を開けるように炊飯器の蓋が勢いよく開く。その瞬間、圧縮されていた蒸気がフワっと立ち上り、温かい蒸気と共に、炊きたてのご飯の香りが私の鼻腔をかすめる。ぐぐぐぅ~と、胃袋が動いて、ようやくちゃんと目が覚めた。  ピンと立った艶やかな米粒たちが、オハヨウと挨拶してくれているようだ。私はしゃもじを水で濡らして、そのお米たちを下の方から優しくふっくらかきまぜる。  昨夜夕飯の支度の傍らで下ごしらえしておいたチーズと大葉入りの肉団子を、多めの油を熱したフライパンで揚げ焼きにする。その隣のヒーターでアスパラを茹でて、卵焼きを焼いた。  夫のと娘のと二つ。サイズ違いの曲げわっぱにご飯とおかずを詰めて、お弁当の完成だ。  メインの肉団子の茶色、卵焼きの黄色、アスパラの緑、それからミニトマトの赤。昨晩の残りのカボチャの煮物で隙間をうめてオレンジ。ご飯の白に、赤紫蘇のふりかけをふった。  彩り豊かで大満足の出来栄えだ。  「ふぁ〜……おふぁよう(おはよう)」  お弁当の完成と同時に夫の智哉(ともや)が欠伸をしながら、のっそりと起きてきた。  「あ、トモくん、おはよう。今日はご飯でいい?頂き物のタラコがあるから、おにぎりにする?」    そう声をかけると、夫は眠たそうに細めた目を私に向けた。そして私と視線を合わせた瞬間、急にカッと目を見開き、口をパクパクさせた。  
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