15人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
私と田原くんとの連絡手段は、電話か携帯キャリアのEメールだけ。
RINEとかのメッセージアプリなら表示はツリー形式で既読未読が分かりやすいので、私としては他の人と同じように、田原くんとの連絡手段もRINEを使いたいんだけど、田原くんは私とのやりとりでは、頑なにRINEを使おうとしない。
以前、私との連絡手段としてRINEを使わない理由を聞いたことがあるんだけど、よく芸能人のゴシップネタなどで、RINE画面のスクショが流出してバレてるので、いつか流出するんじゃないかと思うと怖いって理由だった。
携帯キャリアのEメールだって、漏れる時は漏れるんだし、そもそも私がバラさない限りなく流出する可能性はない訳で。
なので、そこを気にしても仕方ないとは思うんだけど、でもまあ彼が嫌なら仕方ない。
彼自身RINEを使っていないわけじゃないみたいなので、普段大っぴらに使ってるRINEと、私専用の携帯キャリアのEメールとを使い分けることで、奥さんと間違えて送信してしまうリスクを避けてるんだろうな。
---
それが田原くんからのメールだと気づいた瞬間。
私は坂口から見えないように、慌ててスマホを両手で抱え込んで胸に押し付けていた。
“裏返しといて良かった…”
こんな真っ昼間に送ってこなくても…と、つい愚痴が頭に浮かぶ。もちろん裕美子の前なので声には出さない。
角度的に、坂口にはポップアップしたメールの送り主名は見られてはいないはず。
でも私が誰かと一緒にいる可能性の高いランチの時間帯にメールを送ってくるなんて、田原くんも余りにも気が利かない。
というか、今まではこんな時間帯にメールを送ってきてことはなかったのに。
最初のコメントを投稿しよう!