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その日、私は午後の仕事を早目に片付けて、17時30分に退社。
最寄り駅前のスーパーで食材を調達し、18時30分にはマンションに戻った。
そこから苦手な料理を頑張って、なんとか恥ずかしくない程度に整えたところで、指定時間の19時30分になった。
でも彼は時間になってもやってこない。
そうなると私の方も落ち着かなくなってくる。
“送られてきたメッセージ、日付は本日じゃなくて、本当は今までみたく明日だったんじゃないか”と不安になり、彼からのメールを何度も立ち上げて確認。
彼にメールを送って『今日来るよね?』と確認すべきか否か、何度か逡巡していると、ようやくマンションのインターホンが鳴った。
時計はもう21時になろうとするところだ。
「ふーっ、お待たせ」
「お疲れ様」
本当は少し詰ってやろうと思ってたはずなのに、私の口から出たのは、しおらしい一言だけだった。
やっぱり彼を前にすると、普段肩肘張って戦っている私も武装解除されて、一人の女になってしまうらしい。
こんなんじゃ、仮に本当に覚悟が決まったとしても、別れ話なんてできる訳がない。
それからは、遅れた時間を取り戻すかのように急いで食事をとると、二人一緒にシャワーを浴び、ベッドに入る。
時間は多少後ズレしてはいるけど、いつもの逢瀬と寸分違わぬルーティン。
でも、そんな決まりきった彼との時間は、何故だか私をホッとさせてくれる。
自分に素直で居られるからだろう。
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私がここ数日不安定だった反動か、それとも彼がいつも以上に激しかったのかは分からないけど、彼と睦んだ後、いつも以上に疲れ果てた私は、彼の腕の中で小さな幸せを感じながら、いつしかウトウトし始めていた。
彼が、たとえ午前0時には帰ってしまう“逆シンデレラ”だとしても。
その帰っていく先を詮索してはいけない相手だと知っていても。
この短い“幸せな時間”さえあれば、私は生きていける。
本当に、そう思っていた。
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