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「そうだ、俺には大人しくしないと」  鼻を俺のうなじに埋めてまた匂いを吸った。すっかり俺は脱力して項垂れている。すぐカッとなってしまう俺、すぐ手が出てしまう俺…。情けない。自責の気持ちでいっぱいだった。  全てにおいて昊は、ただの被害者でもあるのに。 「だが考えてみたらお前とセックスしたい奴なんていないだろうな」 「うぅ…、」 「近づきがたいオーラ出してんだろ。背もデカいし…オメガみたいな外見でもないし」 「…もしそんな見た目だったら人生さらにクソだったろうな」 「…うーん…。」 「うっ!?」  ずっと動かしていた指を一気に全部抜かれた。なかが痺れ、なかのひだがひくひくと動くのが自分にも伝わる。 「おい、どんだけ締めるんだよ。指が痺れてるぞ」 「ぅ…」 「はぁ…早く突きたい」  そう言って俺のことを後ろから抱きしめる。言ってることはクズ以下だ。体を売らせてやってしまったことを帳消しにした。だが俺も共犯。同意したのも俺だし。だがそれは自分を守るためだった。少なくとも、コイツみたいな快楽で動いていない。 「俺の方見て座ってみろ。困ったな、お前の穴に早く突きたい。優しくしてやるって言ったのに…」  何を言い出すかと思ったら、今度は俺を自分と向き合う形に移動させて眉を下げてそう言う。  いつのまにか下ろしていたチャックから自分のちんこを取り出して、俺の穴にペチペチと当てた。ぐいーっと動かしてわざと先端を当てる。指3本よりももっと大きそうだ。 「やめるか?んっ?」 「ぅ…」 「それともお前が1人で挿れてみるか?」  そちらの方がいいだろう。きっと好き勝手にいじられるよりも早く終わらせる方がいい。どうせ、前にやったことあるし…。コクリと頷いた。 「わかった、待っててやるから自分でやってみろ」  自分の腰を上げて、勃っているちんこを手で抑えて穴に誘導する。ここで初めて見たのだが、かなり大きくて俺の腰の太さとは合わない気がする。骨が中から圧迫されて壊れるんじゃないか、そう思ったほど。  ぐちゅりと音をたてて穴をこじ開けてくるソレ…。先端の時点でかなりキツイ。 「ぅ、あっ…うぅ、はぁ…」 (…、おいおい…)    頑張って顔を顰めて挿れようと必死だった昊だが、この時とても大切なことを忘れていた。  ウブ、その一言じゃ言い表せないほどのバカなんじゃないか、と朔夜に内申笑われていた。
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