プロローグ

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 エルロットの話によると、ルビナ国の国王でエリスの父でもあるタリムが一年程前に流行病で命を落とし、以降はタリムの二番目の妻でもあったアフロディーテがエルロットや他の大臣と共に国の繁栄に尽力を尽くしてきたものの、衰退の一途を辿りつつあった。  そんな時、隣国セネルからとある打診があったのだ。  それは、【我がセネル国と友好な関係を築き、共に繁栄の手助けをしていかないか】というもの。  何故いきなりそのような話を持って来たのか、興味の沸いたアフロディーテは一度セネル国王と対談の場を設けた結果、セネル国の世継ぎで第二王子でもあるシューベルトが、アフロディーテの最も愛する娘、リリナに一目惚れをしたのでリリナとの結婚を条件に金銭面等の手助けをする為、表向きに和平条約を結びたいとの事だった。  衰退の一途を辿っていたルビナ国にとっては申し分の無い話ではあるが、シューベルトの噂はアフロディーテの耳にも入っており、彼は無類の女好きで気に入らなければすぐに捨てるというクズ王子として有名だった事もあって、愛するリリナを嫁がせたくは無かった。  そこで、白羽の矢を立てたのがルビナ国の第一王女で自分とは血の繋がりの無いエリスだった。  しかし、エリスにはリリナを嫁がせたくないといつ私的な部分は隠し、リリナはどうしても嫌がっている事、嫁ぐならば第一王女であるエリスが適任ではないかという結論に至った事に話を変えていた。
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