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優しく頼れる存在
「まずはセネル国の現状を知る必要がある」
「知る……とは、どういう？」
「お前を仕留め損ねた奴らは、どういう対応を下すのかという事だ」
「確かに……」
夜中に寝込みを襲われたエリス。男が気になる事を口にしていたと思い出す。
「そう言えば、襲われた時、相手の方が『薬で眠らせてるからその間に殺せと言われた』……みたいな事を口にしていました」
「薬で？ 何か心当たりはあるか？」
「……夕飯……昨日の昼間にシューベルトたちの話を聞いて、その夜は食事も喉を通らなかったんですけど、メイドにスープだけでもと言われていたのでスープを二、三口程……」
「恐らくそのスープに薬が盛られていたのだろう。全て飲み干せば朝まで深い眠りについていたのだろうが、少量しか口にしなかった事で、効きが浅かったのだろう」
ギルバートのその話を聞いたエリスの身体はガクガクと震えだす。
もし、あの時スープを飲み干していたら、目を覚ます事も無く寝ている間に殺されていたと知ったから。
「話を聞いた事で命拾いしたという訳か。皮肉なものだ」
「…………っ」
「今日一日は奴らも血眼になって探しているだろうが、明日以降どう出るかだな……」
「私が見つからなければ、どうするのでしょう？」
「元よりお前は病に伏せていると噂が流れていたからな……病状が悪化したというシナリオを作り、強制的にお前の存在を消すつもりなのかもしれない」
「ですが、亡骸も無いのにどうやって……」
「それなんだが、お前が見つからなかった場合、誰かが犠牲になるかもしれない」
「誰か？」
「そうだな、背格好が似ている者が一番可能性を持っている。周りに居なかったか？ お前と似たような背格好の者は」
そう問い掛けられたエリスは記憶を辿ると、一人思い当たる人物が頭に浮かぶ。
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