優しく頼れる存在

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「とにかく、明日以降、セネル国から何らかの発表があるだろう。ひとまずはそれ待ちだ」 「……はい」  ギルバートの言い分は分かるものの、すぐに納得なんて出来ないエリスは心を痛め、すっかり落ち込んでいた。  そんな彼女に何か言葉を掛けたいギルバートだったが、彼は人付き合いが苦手な事やどう励ませばいいのか分からず、黙って席を立つとキッチンへ向かう。 「今日は疲れただろう。もう日暮だ。飯を食って早く身体を休めた方がいい。エリス、何か食えない物はあるか?」 「……いえ、特には」 「そうか。有りものだが飯を作るから待っててくれ」 「あ、それじゃあ私も何かお手伝いします!」  座ったままのエリスはギルバートの言葉で立ち上がると、急いでキッチンまで歩いて行く。 「いや、お前は座っていて構わない。姫様は料理なんてした事ないだろう?」 「確かに、した事無いですけど……今の私はもう、姫ではありません。これからは何でも自分でやらなければいけないんです……だから、私にも手伝わせてください……」  王女だったエリスに料理の経験など無く、それを危惧したギルバートは彼女の申し出を断ったのだけど、エリスとしては、自分はもう王族とは関係の無い一般人だと言って経験の為にも手伝いたいと申し出る。  そんなエリスの思いにギルバートは、 「分かった。それじゃあ手伝ってもらおう。まずはこの野菜を洗ってくれ」  小さく溜め息を吐きつつも、エリスに料理の手伝いをさせてみる事にした。
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