プロローグ

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「――我が国の未来の為、これは世継ぎである貴方の使命でもあります。分かってくれますね?」  説明を一任されたエルロットが話を終えてそうエリスに問い掛ける。 「……そんな、元はリリナに来た縁談で、私は王子からすれば邪魔者でしかないのに。王子はそれで納得しているのですか?」  しかし、どうしても納得のいかないエリスは黙っていたアフロディーテへ問い掛ける。 「リリナには好きな時にいつでも会えるという条件を付けたら、エリスとの結婚を了承してくれました。だから問題は無いの。貴方はシューベルト王子の機嫌を損ねず、常に笑顔で暮らしていればいい、それだけで何不自由無い暮らしが送れるのよ? 素晴らしい事じゃない。タリムもきっと、娘の貴方の幸せを喜んでいるわよ」  白々しい笑顔を向けながら、思ってもいない言葉を並べ立てるアフロディーテ。  エリスはその笑顔で、全てを悟ったのだ。  アフロディーテは厄介者である自分をこの国から追い出したいが為と、愛するリリナを手離したくないが為に自分を差し出すのだと。  勿論断りたいエリスだったけれど、これはもう決定事項。  父であるタリムが亡くなったその日から味方であった者は次々に辞めさせられ、肩身の狭い思いをしていたエリスにとって、断る事は出来ないと知っているからこそ、 「……分かり、ました……謹んでお受けいたします」  そう答えるしか道は無いと全てを諦めてしまったのだ。
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