優しく頼れる存在

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「……あの、私……」  明らかに狼狽えているエリスを前にしたギルバートは、 「すまない、軽率な発言だったな。とにかく、ベッドはお前が使ってくれ」  例え提案でも、やはり同じベッドで一緒に眠るなど良くない発言だったと撤回して謝罪すると、寝室の洋服棚から使っていない布を手にしてテーブルや椅子を端に寄せ始めた。  どうやら布を床に敷いて眠る準備整えているようだ。  そんなギルバートの姿を見ていたエリスは、 「あの! 一緒で……一緒のベッドで、眠りましょう!」  勢い良く、そう口にした。 「……エリス、良いんだ、気を遣う必要は無い。ベッドは一人で使ってくれ」 「嫌です! 一緒が……一緒が良いです!」 「さっきあんなに狼狽えていただろう? 無理する必要は無い」 「違うんです、狼狽えていた訳じゃないんです……私、怖かったんです……」 「怖い?」 「その、男の方と同じベッドで夜を共にしたのは一度切り……新婚初夜で……。あの日私は……シューベルトに無理矢理されてしまって、それがずっとトラウマで……、勿論、ギルバートさんがそういうつもりが無い事も分かっているんですけど、男の人と同じベッドで眠ったらあの日の事を思い出してしまいそうで怖くて……それで、すぐに決められなくて……」  先程エリスが躊躇っていた理由を知ったギルバートの身体は自然に動いていた。
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