優しく頼れる存在

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 暫くして、エリスから規則正しい寝息が聞こえてきた事でようやくギルバートはひと息吐く。  そして、その三十分後くらいにギルバートも眠りの世界へ誘われていたものの、遠くの方から苦しむような息づかいや声が聞こえてすぐに目を覚ます。 「……ッ、や……めて、……ころさ、ない……でッ」  その声の出処はすぐ横に眠るエリスのもので、それに気付いたギルバートは身体を起こしてエリスに声をかける。 「おい、エリス。おい!」  額には汗を浮かべ、苦しむエリス。  何とかして目を覚まさせようとギルバートが何度か声をかけ続けると、 「――ッ!!」  ようやく目を覚ましたエリスはハァ、ハァと大きく何度も息を吸っては吐いてを繰り返す。 「エリス、平気か?」 「ギルバート……さん?」 「悪い夢を見たのか?」 「……はい、すみません……」  ようやく落ち着きを取り戻したエリスに再び声をかけたギルバート。  そんな彼に視線を移したエリスは瞳に薄っすら涙を浮かべながら謝った。 「謝る必要は無い。お前は何も悪い事をしていないだろ?」 「いえ、私のせいでギルバートさんは目を覚ましてしまったのですよね? 本当にすみませんでした」  ギルバートは思う。エリスがここまで自分を責めるのは、これまでの環境がそうさせているのだろうと。  正直、彼女が自分を責める度、辛そうな表情を見せる度、無理して笑おうとする度、ギルバートの胸は密かに痛んでいた。  もうこれからはそんな風に辛そうな表情も作り笑顔もさせたくない、自分を責めても欲しくない。  それにはどうすればいいのか、言葉だけで彼女の心を癒せるのか、彼は柄にもなく悩んでいた。
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