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「俺が目を覚ましたのは偶然だ。エリスのせいでは無い。いいか? ここでは何があっても自分のせいだと思わなくていいから、謝るな。悲しい時は泣いていい、辛い時は辛いと弱音を吐いても構わない。無理をする必要も無い、作り笑顔も、作らなくていい。お前の素直な感情を出してくれて良いんだ」
そして悩んだ末、ありのままの自分を見せて欲しいと言葉を選びながらギルバートはエリスに伝えた。
「ここにはお前を憎む者は居ない。責め立てる者も居ない。命を狙われたりもしない。お前の事はこの俺が必ず守る。だから安心しろ。眠るのが怖いなら、朝まで共に起きていよう。決して、お前を独りにはしないから、俺で良ければいつでも頼ってくれ」
瞳に大粒の涙を浮かべたエリスが真っ直ぐギルバートを見ると、二人の視線がぶつかり合う。
「ギルバートさんは、優しいですね……」
「そうか? これが普通だ。きっとお前の周りの奴らがおかしかっただけだ」
「そんな事……」
「奴らを庇う必要は無い。ほら、もう一度寝るぞ。身体は疲れているはずだから、目を瞑ればすぐに眠れるだろう」
「はい……」
まだ夜も明けない時間なので再びベッドに横になった二人。
エリスの心も落ち着きを取り戻したのですぐに眠れるかと思ったギルバートだったが、やはり眠るのが怖いのかエリスがなかなか眠れない気配を感じ取り、
「やはり、眠れないか?」
彼女に背を向けたまま問いかけた。
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