優しく頼れる存在

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「あの後はよく眠れたようだな」 「はい、あの……お陰様で」  朝、あれから数十分程で目を覚ましたギルバートと会話を交わしたエリス。  まだ、もう暫くギルバートに身を預けていたかったという思いを胸に抱きつつも、彼が身体を起こした事でエリスも身を起こす。 「俺は別に何もしていない。しっかり休めたなら良かった」  フッと口角を上げたギルバートはそう口にすると、早々にベッドから降りていくのでエリスもそれに倣うようにベッドから降りていった。  昨晩同様二人で朝食の準備を整え食べ終えると、 「エリス、何かしたい事はあるか?」  食器を片付けながらギルバートはエリスに『したい事』があるかと問い掛けた。 「いえ……その、特には……」  けれど、嫁いでからというもの常に部屋の中で毎日を過ごしていたエリスにやりたい事など思いつかず、『特に無い』と答えた。 「そうか。ならばセネルの動向を探る為にも、少しセネルに近付いてみようと思うが、エリスも行けそうか?」 「え?」 「無理そうならば、俺一人で行く。その間お前の事は安全な場所へ預けていくから安心してくれていい」  ギルバートはセネルの動向を探る為にあえてセネルへ近付いて行こうと考えているようだが、エリスとしては近付く事に抵抗があり、すぐには決められずにいた。  もしエリスが行かない選択をするのであれば彼女をどこか安全な場所へ預けていくと決めているようなのだが、エリスとしてはギルバートと離れる事が一番不安で避けたい事だった。
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