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堂島はそう言って、博子とともに柏木の説明を待った。
「健次郎氏の死因は一酸化炭素中毒で、他の有毒ガスを吸った痕跡はなかった。しかし、テントウムシは他の多くの昆虫と同様に、血液中にヘモグロビンがほとんど存在しない。つまり、彼らは一酸化炭素中毒にはならないんです。しかし、火で焼かれたり消火液を浴びたりした痕跡はなかった。彼らの死因は窒息死です」
「それがおかしいんですか?」と堂島が尋ねた。
「ええ、ベッドが燃えたくらいでは、あの寝室は酸素不足状態にはならない。何らかの理由で二酸化炭素か窒素が大量発生して、テントウムシを窒息させたんです。あの火事が小火で済んだのも、おそらくそのせいです。しかし、あの部屋に特殊な消火設備はなかったし、管理人が使ったのも小型のありふれた消火器だった」
「ということは?」
「何者かが意図的に火災を引き起こし、しかも火が燃え広がらない仕掛けをしたのだと考えられます」
「一体どうやって? それに狙いは?」
堂島が勢い込んで尋ねた。
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