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「まだわかりません。断片的なアイデアはいくつかあるんですが、仮説を組み上げるには材料が足りない。博子さんに残っていただいたのも、さらにお話をうかがいたかったからです」
「あの、そういうことでしたら……」
博子は少しためらいながら柏木に言った。
「何でしょう?」
「浦上を呼び戻しても構いませんでしょうか? 長年祖父のもとに居りましたから、私以上によく知っていることも多いと思います。詳しくは申し上げられませんが、彼には祖父に死なれては困る事情があるんです。ですから彼は犯人ではありません。もし彼に何か疑いが生じるようなことがありましたら、私も一緒に容疑者に加えていただいてかまいませんから」
「堂島さん、いかがですか」
「ええ、彼にもご協力願いましょう」
堂島がうなずくと、博子はインターホンを使って浦上を呼び出した。
「ところで警部補、どうやって柏木さんが嘘をついていることに気づいたんですか?」
前園が不思議そうに尋ねると、堂島はあきれ顔で答えた。
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