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「なんだ、お前、気づいていなかったのか……。柏木さんがあんなに断定的な言い方をするなんて、どう考えてもおかしいだろう? 昆虫学者として犯罪の証拠を見つけられなかったからといって、この火災が事故だということにはならない。わざと犯人が安心しそうなことを言うのは、逆に決定的な証拠が見つかったということだ」
浦上が戻ってくると、柏木はすぐに質問を始めた。
「まず確認したいのは、警報器が鳴った時に皆さんが寝室に駆けつけた順番です」
「最初は森田です。それから人志社長。私たちが部屋に着いた時には、二人はもう中で総帥と話をしていました」と浦上が答えた。
「ベルを聞いてすぐ寝室に?」
「はい。ただ、もう床についておりましたので、上着を着たりするのに少し手間どりました」と博子が答えた。
「二人はマージャンをした時と同じ服装を?」
「ええ」
「警報器を切るように指示したのは?」
「お祖父さまです」
「二度目の誤作動だと聞かされては、無理もないですね。で、本物の火災の時も、一番乗りは森田だったと。他の方々の到着順は?」
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