天道虫(てんとうむし)

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 質問を終えると、柏木は笑顔で堂島に声をかけた。 「堂島さん、どうやら材料がそろったようですよ」 「では犯人は?」 「それをお話しするのは、もう少し待っていただけますか。仮説はできたんですが、検証する時間が欲しいんです。ただ、犯人を捕まえる方法を思いついたので、仮説が正しいかどうか、犯人の反応で確かめられそうです」 「犯人を捕まえる方法が?」  堂島と前園が同時に声をあげた。 「ええ。今は狩猟期間だそうだし、(わな)を仕掛けてやろうと思うんです」  柏木はいたずらっぽい笑みを浮かべると、考案した罠の内容を説明し始めた。  打ち合わせを終えて一同が引き上げようとしていた時、博子はふと窓の外に目をやって足を止めた。 「何をご覧になっているんですか?」と、柏木が歩み寄りながら尋ねた。 「祖父が一番気に入っていた景色です。ここにログハウスを建てたのはそのためなんです」  博子の視線の先には、雪化粧した浅間山の姿があった。 「確かに、すばらしい眺めだ。健次郎氏はこちらのご出身だったんですか?」
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