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森田は床板を放り出して穴の中をのぞき込み、銀のティアラを取り出した。
「はい、ご苦労さま」
柏木の声とともに、彼と堂島、前園、そして三人の県警の警察官が寝室に踏み込んできた。堂島はその大柄な体格からは想像のつかない敏捷さで森田からティアラを取り上げ、警官二人が両脇から森田の腕を抱え込んで完全に動きを封じた。
柏木は森田の猟犬を連れてゆこうとしている三人目の警官に声をかけた。
「管理人小屋に何か餌があるはずだから、その子にやってください。お手柄だったから、できるだけ喜びそうなものをお願いします」
警官が犬を連れ出すと、柏木は入り口のドアの外側で待機していた博子と浦上を招き入れた。
「お待たせしました、どうぞお入りください」
「お嬢様、東京に戻ったんじゃ……」
森田は思わず声を上げたが、博子の怒りに満ちた眼差しに射すくめられて目を伏せた。
「昨日のうちに小型カメラを仕掛けておいた。はら、そこだよ」
柏木は健次郎の書斎机を指差した。
「僕らは君の奮闘の一部始終をモニターしていたのさ。当然ながら録画もしてある」
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