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「まんまと罠にかかりましたね。柏木さんの読み通りだ」と堂島が言った。
「自分たちの策に自信を持ちすぎているんですよ、この男も藤井人志も」
「伯父も共犯なんですか?」
こみ上げてくる怒りをかろうじて抑えながら、博子が低い声で尋ねた。
「ええ。ティアラを手に入れるために、二人が共謀して、火災に見せかけて健次郎氏を殺害したんです。おそらく健次郎氏が寝室でティアラを手にしているところを森田が見かけて、人志氏に話したんでしょう」
「推定価格が十億円を越えるティアラを売りさばくなんて、とてもじゃないが、森田の手には負えません。一方、人志氏にはギャンブルで多額の借金があった。グループの株式をそこそこ保有してはいるが、勝手に売却できないように健次郎氏が先回りして手を打っていたので、にっちもさっちも行かなくなっていたんでしょう」と堂島がつけ加えた。
「柏木さん、こいつらは一体どんな手口をつかったんですか?」
前園の言葉に堂島がうなずいた。
「予定通りに獲物を捕まえることができたし、仮説は正しかったようだ。そろそろ真相をお聞かせ願えませんか?」
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