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弟子
「もう、不用心ですよ!いくら山奥だからって、ここは検索で簡単に出てくるような名所なんですから気をつけてください、師匠。それにこんなお天気が良くて爽やかな日なのに、障子開けますよ!」
「な…!」
開け放たれた障子から、さぁっと彼女が言った通り、皐月の爽やかな風の一矢が、一陣のもとに部屋の闇を切り開いていくのを感じ、斎は言葉が出せなかった。
「おい、他人の家に勝手に入って何をするんだ!」
我に返ると、斎にやっと怒りが込み上げてきた。何だこのガキは⁈ 怒り以上に、そのあっけらかんとした言動に呆れてしまった。
おっと、これは失礼したとばかりに彼女はセーラー服の裾を翻して斎の前に真の礼で正座し、頭を下げていた。
「お初にお目もじ致します。私は、藤井宗哲が娘、藤井飛鳥と申します。本日より、長谷川斎先生に弟子入りさせて頂きます。どうぞ何なりとお申し付けくださいませ。」
飛鳥の堂々とした姿に気圧されて、斎は瞬きひとつできなかったのだった。
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