《第1話》ペオル山の主神

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「ね。分かるかい?」 アロンは分かりやすくダビデを連れて登った民家の二階からエノクの行動を見つめる。 「、、、いえ、民家をぶち壊しているように  しか。」 すると、民家の燃えた炎がベルフェゴールの巨躯にも乗り移る。 「あちぃぃ!!」 堪らずのたうち回るベルフェゴール。 「そう。ベルフェゴールの弱点には炎があ  る。でもあの村人の小さき炎ではレベルの  違いがありすぎてダメージにもならな  い。だから炎を大きくする為に家に引火さ  せた。それに見て。その攻撃は村人誰にも  当たらない位置で行われる。そもそも彼に  炎の魔法を教えたのはエノクだよね。」 ダビデはわかったような分からないような。 未だエノクがめちゃくちゃにしている様子の方が強く映る。 「じゃあ、君はなぜ槍を使えた?」 「それは、、、エノクに教えて貰ったか  ら?」 「そう。でも槍なんて一朝一夕で戦えるまで  扱えるものではないよ。」 そうなのか?夢中で槍を振るったダビデには なんだかそれは当たり前に出来たものだと思えてしまっていた。 「そうなんだよ。君がそれほど当たり前に槍  を使えるのは才能なんだ。でも君は村では   使った事もなくそんな才能は知らなかった     ハズだ。」 「他の人もそうだ。なぜいきなり魔法が使え  なぜ、すぐに剣技を使えたのか。それは才  能があったから。」 アロンはまるでファンのような目の輝きで エノクを見つめながら説明した。 「彼、エノクの力はね。『調べる』能力。  敵、味方、地形。すべてのステータスが分  かり、弱点や得技などが分かる。さら  に、、、。」 "レイジネス・ブレス"!! ベルフェゴールがたまらず大きな息を吐き 炎を消火する。 丁度その背後、高くそびえる村長の家の屋上。グリフォンが象られるその上に少女、 エリシャの姿。 「園を守るケルビムは、翼を広げ、、、」 そう剣を構え技の力を蓄える。しかし、消火に気を取られたベルフェゴールは気付きもしない。 『相手の防御力は今のお前たちの実力では破    る事は出来ない。しかしグリフォン。その  力を利用すれば、、、』 そう、エノクがエリシャに告げたのは高さを活かした高所からの斬撃。 「我らの栄光は、、、」  アロンとダビデが見つめる前でエリシャの剣が輝く。 〜スキルマックスまで磨き上げられた『調べ  る』力は味方の眠った才能まで分かり、〜 旅の初め、、、 「う〜ん」 エリシャとダビデの周りをウロウロ回るエノク。 エノクには二人がこう見える。 エリシャ レベル4 体力 32 魔力18 攻撃力108、、、 ダビデ レベル5 体力 41 魔力5 攻撃力220、、、 データのように二人の情報が浮かび上がって見える。 『レベルの割に体力が異常に落ちている。相当弱っているな。しかし、、、』 「ボロボロだな。」 そう言うと体力回復にご飯を与える。 『この二人。身なりからして農家のようだがさすが筋力はそれなりにある。それに』 「沢山食え!じゃないと帰り道が大変だぞ。」 『二人の才能、、、少女は剣士、、、青年は、、、狂戦士、、、』 「えっと、剣と槍と、、、」 武器庫で武器を集める時も 『剣士には剣、戦士には槍、、、それと基礎筋力と体力をつけていく必要があるな』 それぞれの才能に合わせた荷重をかけ、 動物と戦い、山を登りながら 才能を開花させる基礎を教えていく。 『まぁ武器を詰めたのはついでだがな。重さの荷重を稼ぐのと村人400人のうち何人か才能に覚醒めさせる事が出来たら一石二鳥』 全ては二人の才能を開花させる為。 〜地理や技、弱点まで網羅したデータは  相手を掌握。〜 村の人数は?だいたい400人位。 見張っている魔物は?せいぜい5、6人。 聞いていた情報を元に一人 山を登ったエノクは 魔物の巣を見つめる。 〘ベルフェゴールの洞窟〙 モンスター数52 平均レベル30 ボス ベルフェゴール レベル68 弱点 炎  打撃系の攻撃に強い 『なるほど。相手の平均レベル。武器を持たせたら間違いなく勝ち目がないか。後は村に帰って炎系の魔道士の教育とどう体力を減らせるか、ダメージを与えられるか考えなくては』 エノクの『調べる』能力は初めから全てが分かっていた。 そうして総合的に導き出した最適解。 昔からエリシャは言われていた。 『ケルビムが導いてくださる。守って下さ  る。だから、、、』 それは、村長の家のグリフィンが見守る前で 地上からエリシャを見つめるエノク。 「さぁ!飛びたて!」『怖がらず飛び立て』 エリシャは勇気を出して屋上から飛び降り、 剣を振り下ろす。 「彼の者の飛び立つ先にある!!」    "鷲獅子(グリフォン)飛翔剣" ベルフェゴールの背中を切り裂いた。 こうして、明らかに不利な状況を 味方の能力の開発、相手の動きを操作して 勝利へと導いた。 アロンは言う。 〜エノクの力は未来を見通す!!〜
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