《第3話》人に惑わされた堕天使

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勇者ギデオンの名誉。 それはサタン復活からほどなくした時。 勇者ギデオンは兵を連れ 軍を率いて展開するベリアルの軍勢へ 挑む事となる。 ギデオンは300の兵を4つの部隊に分け 選りすぐった精鋭4名で仕切り攻め入る。 相手は80の軍。 しかし、まだ部隊も整わないこのタイミング。今ならいける!一点突破で王を討つ。 しかし、徐々に囲まれ退路を塞がれる。 このままでは! 相手の数の多さに圧倒される兵に ギデオンの角笛が士気を与える。 「進め!退路がないのであれば  進む先!王の首のみが相手を砕く一筋の  道!」 「勇者様!あなたが先頭を行かれては!  後方までお下がり下さい!」 「私が前を征く!  今を逃せば二度はない!!」 「私一人の命で世界が救えるのであれば  それ程、多幸な天秤はあるであろうか。  征くぞ!」 その力強い角笛の音は 人々に勇気を与え、力が劣っているはずの 敵を次々なぎ倒す。 「ギデオンは強化系魔法でも使えるのだろう  か。」 別働隊で動く武神がギデオンの部隊の動きに 驚く。 「いや、真の勇者の鼓舞は人々を強くするの  だ。」 数多の技を使う戦士も驚きながらもギデオンの活躍を称える。 「大丈夫。私達なら突破できる!」 攻撃と回復を兼ね揃えた聖剣士が一番後衛から声をかける。 「いくぞ!!ギデオンに続け!!」 ギデオンが率いる軍は まるで中央に道が切り開かれるが如く 真っ直ぐに魔王ベリアルの元へと続く。 そうして徐々に兵員が削られながらも ベリアルの元へたどり着いたのは ギデオンの兵団のみ。 だが大軍相手に消耗し 憔悴しているのは否めない。 しかし訪れた天運。 ベリアルを残し引いたのは魔王軍。 ベリアルは単体で勇者のパーティーを相手にする事となり、敗北を喫する。 魔王の一角を倒したという名誉を 与えられ市民から崇められたのとは裏腹に 英雄達の中に突きつけられた事実。 魔王まで切り開かれた道は 軍が引いたが故。 導かれたのだ。ベリアルを討つように。 サタンが退く際のあの高らかな笑いがそれを証明している。 ただの囮のような存在。 それに対してようやく対等。 1000年の時で衰退した武術では サタンには届かない。 勇者が死んだ事で折れた心はバラバラとなった。 元老院 〜ギデオンは破れたか。  勇者を育てるには早すぎたという事。〜 魔族の動向を知り、各地から戦士を集め、 勇者一行に修行をつけた張本人。 〜いや、血族の差か。  レビでは足りなかった。〜 しかし、サタンの復活まで予見は出来ず 1000年という時も相まって 人材集め、教育共に難攻していた。 〜何より1000年前は単独であったサタンに  魔界の軍勢まで加わってしまった。  1000年前より状況が悪い。〜 〜どうするのじゃ。  何よりはまず  探すのは英雄の血。そうだ!  お主のせがれはどうなった。  のう。  ヤレド。〜
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