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散った霧は再び一つに纏まり
豪傑にまとわりつく。
「ぐあぁぁぁ!!」
豪傑は霧の中、悶えるような声をあげると
再び姿を表した時には
あっという間に骨のみとなっていた。
「まずい!魔法障壁!!」
やられる瞬間、王の指示で魔導隊が
ガード魔法を展開。
しかし、王は障壁の外で尚も霧に立ち向かう。
「駄目です王!引いて下さい!」
そんな三人将の女魔道士の声に
「わしが引いたら誰が民を守るのだ!」
と、一歩も引かず剣を振るう。
「でももし、王が
やられでもしてしまったら。」
「王など司令系統
指導や指示をする役割にすぎん!
先代は王座に拘っておったが
王座など他国を牽制するただのお飾り!
空けば他の者が変わりを務める。
我が国はそれほどやわではないわ!」
今ここで引けば
死の霧はこの国の全てを喰らい尽くす。
そうやって死んでいった街は数しれず。
国の長として、引くことは出来ない。
覚悟を決めた王の剣の光を吸い取るように
今までより、より濃い黒の霧が王の身体を覆う。
「王!!」
エノクの身体が一瞬カラフルに光ると飛び出て王を救おうと霧に突っ込む。
「ヤバいヤバい!えのくが!どうしよう。」
デボラはワタワタ慌てながらもとりあえず
自分の出来ることをと
魔法を撃つ。
「"ヤハ"!」
「いてぇ!!」
その魔法が当たった場所から
エノクが王を連れて飛び出る。
「お前、俺に当てるやつがあるか!!」
デボラの魔法に気付きからがら背で受け
王を守ったエノク。
「しゅみましぇん。」
「撤退!!退くぞ!!」
三人将の魔道士がその場を仕切り
それにより国民はまもられるが
王は負傷する。
霧からはなんとか逃げ延びたが
王がやられた。
「なんなんだ、あの霧は。」
撤退の号令も無視をし戦っていた剣士は
逃げ遅れ。
「助けてくれ、助けてくれ、、、たす」
無情にも4mの巨大な剣のみ残し骨となる。
幾多の戦果をあげた武人ですら
得体の知れない恐怖の前では
頭を垂れ助けを求める。
奴は農産物だけではない。
人や家まで食う。
悲壮感が漂う部隊。
「僕たちが到着した頃には霧はもうどこかに
行っていたけど。」
アロン達も合流し、死の霧について
議論を交わす。
「死の霧は街を食い尽くすまで鎮座すると言
われます。今回は町外れの農部のみ。
恐らく他を襲いにまた現れるかと。」
国最強の部隊が太刀打ち出来なかった今
この国に成すすべはない。
エノクは感じ取った違和感に考え込む。
「エノク。何か見えたのか?」
「いや、、、。」
掴めそうで掴めないその存在。
「エノク!」
そんな考え込むエノクの背を急にデボラが
突く。
「っおい!また攻撃を食らったかとおもった
ぞ!」
そう。エノクに魔法が当たったように
霧が相手ならば必然。物理的な攻撃や
どんな魔法も貫通するだろう。
なのに、
あの霧に触れた者は
貪り食われる。
出逢えばやってくるのはまさしく、死。
一方的な暴力。
それに対して対峙した者は恐怖を覚え
二度と目の当たりにしたくはない。
「ちがうちがう。せなか汚れてて。」
「こんなんお前から食らった炎の魔法のス
ス、、、。」
しかし、死を司る自然災害は
全てを食い尽くすまで再び
容赦なく襲いかかる。
「敵襲!敵襲!
今度は中央広場に、死の霧!!」
何かに気づいたエノク。
「エノク!何か見えそうなんだな?!
このままでは国は滅びる!
頼む!この国の未来を救ってくれ!」
そして、レビ国王子、アロンが告げる。
「只今より、レビの未来はこの軍師、
エノクに授ける!
部隊はエノクの指示の元、動け!
国を守るぞ!!」
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