《第5話》人の信頼する者

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《第5話》人の信頼する者

バサバサバサ 暗い洞窟を抜け 地底深くに潜るとマグマの煮えたぎる 池のほとりに城。 迷い混んだようなコウモリが一匹。 城の最上階の王の間に降り立つ。   「サタン様!ご報告です!」 ここは辺獄。 魔族が納める魔物の棲み家。 その城の玉座に座るのは主、サタン。 ここ数年魔族が圧倒的優位でられ進めてきた 地上進行も 数個の強国を残し拮抗。 ある種平定のように辺獄は落ち着いていた。 その平穏を引き裂くように慌ただしく コウモリは告げる。 「ベルゼブブ様がやられました!!」 「何!?ベルゼブブが!?」 ベルゼブブは地上進行の為に作り出した魔物。謂わば息子のようなもの。 「あやつは欲が過ぎたからな。」 平静を保つように冷静な言葉を並べてはいるがサタンからすれば自分の分身とも等しい 打ち破れるはずのない自信に満ちた 作品が看破されたのは由々しき事態であった。 「ほう。私はこいつを知ってますぞ。」 知らせを受け魔道士が水晶玉にベルゼブブを倒した者を映し出させると そこに投影されたのはエノクの姿。 「こいつは落ちぶれ者エノク。  まさかこいつがねぇ。」 何かを知っているような魔道士は 知り合いでも語るような素振りで小馬鹿にするようにエノクについて語る。 「そやつは何者だ!!?」 「アワンの子、アベルの末裔。  しかし、何も出来ぬ無能。サタン様が  恐れる程の者でもありませぬ。」 「アベルの!?」 それはサタンにとって忌み言葉。 堪えていた感情を爆発させるかのように 魔道士の胸ぐらを掴み暴力的に持ち上げる。 「なぜ貴様はそいつを捨て置いた!?」 「いえ、サタン様の攻撃で  まさか生きているものとは。」 今にも殺してしまいそうなサタンの怒り の矛先を外すように最も信頼を寄せる 最強の男が討伐を買ってでる。 「ならば私が始末してきましょう。」 〘魔王軍 剣帝〙バフォメット これが因果か因縁か。 あの時、シオン国で邂逅した二人が 互いの障害となり立ちはだかる。 「いい事聞いちゃった〜。」 身分の高い者の会話を跪きながら聞いていたコウモリは ニンマリ笑いながら飛び立ち。 魔王の城を後にした。
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